2012.08.06 (Mon)

スラブ叙事詩 3

スラブ式典礼の導入

IMG_3545.jpg
1912年 610cm x 810cm テンペラ絵具と油絵具 

まずは長~い長~い前置きです。
本当に長すぎます。
でもこれを踏まえないと分からないのです。
だからまず長い前置きをどうぞ。

9世紀前半に中欧初のスラブ人国家が誕生しました。
名を大モラビアと言います。
古モラヴァと呼ぶ者もいます。
そこに東フランク帝国が攻撃を仕掛け征服を試みました。
特に宗教的支配に重きを置いていました。
東フランク帝国王ルドウィーク・ニェメツは大モラビアの王にロスティスラフを任命します。
ロスティスラフの叔父大モラヴィア初代王のモイミールはカトリックに寛容だったからです。

しかし、ロスティスラフは東フランク帝国支配の波を回避すべく尽力し、
特に独自の教会組織を設立することに決めました。

ロスティスラフはローマ教皇に依頼をします。
「ラテン語ではなくスラブ語で神の教えを説ける司祭を送ってほしい。」
当然、東フランク帝国などの思惑もあり、この願いは聞き入れられませんでした。
そこでロスティスラフはビサンチン帝国皇帝ミカエル3世に同様のことを願い出ます。

863年、ついに現ギリシャはテッサロニキから、
コンスタンティンとメトディウスがモラヴィアに到着しました。
彼らはマケドニア語と文語の古スラブ語に堪能しており、
ロスティスラフの望み通り、スラブ語で説教をし、
スラブ語初の文字「グラゴール文字」を創り上げたのです。
ギリシャ語の小文字を参考にしたと言われています。
さらに聖書の一部を古代スラブ語に翻訳もしました。

その影響もありモラビアでの布教は成功し、多くの聴衆を獲得しましたが、
やはりローマの許可を得る事は必要不可欠となりローマに赴きました。
スラブ語説教の許可は得ましたが反対者が多く問題も起こり、
コンスタンティンはキリルと名を変え、その後ローマで亡くなってしまいます。

メトディウスだけがモラヴィアに戻りましたが、すでに統治者が新王スヴァトゥプルクに変わっていました。
新王スヴァトゥプルクは彼らの不在時にドイツ人司祭たちによって懐柔されていました。
その結果、紆余曲折の末、メトディウスの死後、その一派は追放されてしまいます。
追放された一派はキエフ・ルーシや大ブルガリアに流れました。

ちなみにキリル文字はグラゴール文字の流れを受け継いでおり、
キリルの名を取ってキリル文字と呼ばれるようになったのは承知の通りです。

こんな背景を踏まえまして・・・
IMG_3545.jpg

880年、メトディウスがローマから大モラヴィアへ帰還した時の様子です。
場所はモラビア王国の都Velehrad(ヴェレフラド)。

右手には新王スヴァトゥプルクが玉座に座しています。
その前でメトディウスの門弟が教皇からの手紙を読み上げています。
写真 12-10-28 16 32 38

手紙にはメトディウスを大モラヴィアとパンノニアの大司教に任命し、
スラブ式典礼の許可を与える、という内容でした。
玉座のスヴァトゥプルクの周りにいるドイツ人司祭らはかろうじて憎しみを隠しています。

絵中央下の白衣の男がメトディウスで門弟に支えられその朗報に耳を傾けています。

885年、メトディウスが亡くなり門弟は大モラヴィアから追われ、
先述のとおり、現ウクライナやブルガリアに逃れました。

絵右上は二組のカップルがいます。
ブルガリアの聖ボリスと妻、ロシアの聖人オルガとイゴルです。
彼らはキリルとメトディウスの遺物を守る者に選ばれました。

左上にはスラブ人伝道者の地位がドイツ人司祭に代わる様子があり、
写真 12-10-28 16 33 06
その下に白いケープを着たコンスタンティン(キリル)が描かれています。

特に目立つ手前左の青年は統一と調和の象徴でもある輪を持ち、
強さの象徴でもある拳を握りしめています。
写真 12-10-28 16 32 50

調和と強さ…
100年前のスラブ人のアイデンティティです。


つづく

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