2013.10.06 (Sun)

プラハでピヴォ vol.12

=行きつけのホスポダ=

かれこれ15年前、私はフローラに住んでいた。
だいぶローカルネタだな。

しかもホスポダの上階。
ホスポダとは居酒屋のこと。

酒類の中でもとりわけピヴォ好きの私にとっては、
天国極まりないロケーションだったのである。

しかし、いざ入店となると、なかなかどうして勇気がいる。
店の雰囲気が地元感バリバリで怖いし、
一見の外国人の私が入店した途端、
「何しに来た若僧!」
ばりの視線が刺さるのが目に見えていたからである。

そんなこんなで悩みに悩んだが、
ある日、意を決してホスポダ入り。

ところが悲しいかな、
意を決しホスポダ入りするも、
興味混じりの視線に耐えられず、
その日は3杯飲んで家路につくしかなかった。

それからと言うもの、ほぼ毎日毎日、
3杯飲んで家路、3杯飲んで家路を繰り返していたら、
いつの日か店に入ったら何も言わずにピヴォが出て来た。

そして常連客のひとりが、
「また3杯飲んだら帰るんだろ?俺は見てたぜ。」
と言ってきた。

上機嫌の私はその日は5杯飲んで家路。
翌日から常連客の仲間入り?になった。

常連客になったとは言っても、
私のインチキチェコ語では会話なんて続きやしない。

特技の相槌で返すだけだから、
先輩常連客が興味本位で話しかけてくるも、
「話通じねえな」
となったら即フェードアウト。
その後はひとりポツンとピヴォるしかない。

ある日、興味本位で話しかけてきた先輩常連客がフェードアウトし、
ひとりポツンとしていると、同じくひとりポツンのウクライナ人が話しかけてきた。

そのウクライナ人とインチキチェコ語で話す。
ウクライナ人の話の内容はチェコ人に対する不満タラタラのネタ。

私もチェコ人に不満はあったけれど、
そのウクライナ人ほどではなかった。
だから、「チェコ人はいい奴らじゃん」と言ってやった。
そうしたらそれがそのウクライナ人の怒りの琴線に触れたらしい。

静かなる怒りを現にし、
凍えるような目つきで私を睨みつけ、
ジャケットの内ポケットに手を入れた。
瞬間、見たこともない黒い物体をチラ見させた。

その物体は、な、なんとピストル!

おぉー!
えっ?撃たれんの?

その一部始終を見てたひとりの常連客が私に近づきながら声をかけた。
「モト!どうした?」

動揺を隠せない私は、
「なにも…、ただ…。」
と言うだけ。

ウクライナは席を立ち、
常連客のボスキャラに走り寄り、
ピストルをコメカミに当てた。

えっえっえっ?

さすがにウクライナ人も引き金は引かなかったが、
すぐ他の先輩常連客に捕まり、床にうつ伏せ状態で取り押さえられた。
取り押さえられたウクライナ人は警察が来ても黙秘権を行使。
手酷い仕打ちを受けていたが彼の保証人がくるまで無言だった。


またある日、仕事終わりにホスポダに行くと、
ネオナチ軍団がパーティーをしていた。
その軍団の中にいた最高齢のおやっさんが私の後輩常連客だったのだ。

年寄りのハゲだと思っていたのに、ネオナチメンバーだったなんて…。

でも、構わずピヴォを頼み飲んでいると、メンバーの若僧が近寄ってくる。
「お前は何売ってんだ?」

この質問の意味は、
ベトナム人であるお前は、
ベトナム人マーケットで、
何を売っているのか?
と言うことである。

「何も売ってないけど。」
と答えると、
「何してんだ?」
とクエスチョンがきた。
「日本人観光客のための旅行社で働いている。」

「お前は日本人か?」

「そうだけど。」

「日本人なら良い。でも。」
と言ってスリーパーホールドで吊るし上げられる始末。

日本人でも良くないじゃ~ん!

ハゲのおやっさんが、「もうやめてやれ。」
と目配せをしたようで、静かに床に降ろされた。
ありがとう、後輩よ!

またある日、ひとりピヴォっていると、
ちょっと気取ったチェコババアが入ってきて、
立ち飲みしている私から少し離れた場所で立ちピヴォを始め、
バーにいる女将さんに向かってひとり話し始めた。

何気なく聞いていると、隣に私がいたからなのだろう、
チェコにいるアジア人批判の話題になっていた。
申し訳ないけれど…
ここで言うアジア人批判は中国人とベトナム人が対象になっている。

うだうだ話し、最後に私を指差し、
「この人のように。」
で締めた。

あれれ?

「私はベトナム人でも中国人でもありませんが…」
と私が言うと、女将さんも、
「そうよ。彼は日本人よ。」
と付け足す。

気取りババアは返す。
「そんなのはどうどもいいの!うだうだ!」

だから私は言ってやった。
しかも丁寧な口調で。
「私はあなたがウクライナ人かロシア人かと思ってました。」

これも2国の方には申し訳ないけれど、
当時のチェコ人はウクライナ人やロシア人に見られることをだいぶ嫌がっていたんだ。

気取りババアは、
「ドピ…(お下劣な言葉)!チェコ語話してるじゃない!」
と雄叫びをあげた。
私は返す刀で、
「チェコ語を話すロシア人かと思いました。
私には誰がチェコ人で誰がロシア人だか区別つきませんから。
あなたのように…。」
と吐き捨てて店を出て、上階の家へかえった。

一時間後、お金を払っていなかったことを思い出し、
もうあの気取りババアもいないだろうと考え、飲み直しに下階へ。
お金を払おうとすると、さっきまでのは良いから、と受け取らなかった。

おーっ、常連客の強み!
ありがとう女将さん!


さらにある日。
ホスポダの奥の方で非常連客が飲み、かなり泥酔していた。
会計が終わり、席を立つ時に、
ポケットからオレンジ色の紙が落ちるのを私は見逃さなかった。
「あっ、200コルナ。」
と私は床に落ちた200コルナを拾い、
持ち主に返そうと持ち主に近づいて行くと、
常連客の誰もが私を見て、
「ネッ!ネッ!」
と目配せしている。
ネは英語のノー。
だから、渡すな!渡すな!と言っていたのだ。
それに気付いた私は常連客の言いなり。

しばらくしたらその落とし主が戻ってきたが、常連客皆シカト。
なぜなら落し物のお金は全部パナーカに変わっていたからである。

パナーカって言うのは…
ウォッカとかテキーラとかベヘロフカとかラムとか…
つまりショットグラスに入った強いお酒!!

200コルナは2枚重なっていて、実は400コルナだったんだ。
だから常連客全員にパナーカをおごったのである。

しかし、落とし主が戻ってきた時の常連客たちの表情ったら、
一堂に下を向き目線を合わせない。
「何しに帰ってきた!。」
と下を見ながら叫ぶ者もあり、まるでコントのようだった。

っと、まあ長々とくだらない昔話を、うだうだ書いてしまった。

実は…
となりの家の1階がホスポダなんです。
まだ行きつけのホスポダにはしていなかったけど、
昨日珍しく行ったら帰りしに、
「じゃあね。ご近所さん。」
と見送ってくれた。

やばい、行きつけになるかも知れぬ。
そうしたらまた、変なエピソードができてしまうな~。

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19:20  |  プラハでピヴォ  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)  |  編集  |  Top↑

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